【CLF-C02 試験対策問題 第12問】移行のビジネスケース(Migration Evaluator)

CLF-C02 試験対策問題 第12問 移行のビジネスケース(Migration Evaluator) クラウド

「移行のサービスは名前が似ていて、調べるもの、見積もるもの、移すものの区別がつきません」
「料金を見積もるなら Pricing Calculator だと思っていましたが、それでは違うと言われると困ります」

AWS Certified Cloud Practitioner(試験コード CLF-C02。以下 CLF)では、移行のサービスについて、問題文の目的から、調べる・見積もる・移すのどのサービスかを見分ける問題が出ます。「ビジネスケース」「使用状況とライセンスをもとに」のような、目的の言葉が手がかりになります。

この記事は、CLF の練習問題を1問ずつ解説する連載の第12問です。問題は筆者が試験の範囲に合わせて作ったもので、実際の試験の問題ではありません。まず自分で答えを選んでから、解説を読んでください。

▶ この回の内容は、YouTube の動画(約5分)でも見られます(記事の最後にも埋め込んであります)。


問題

ある企業は、オンプレミスで約 300 台のサーバーを運用しており、AWS への移行を経営層に提案しようとしています。今のサーバーの使用状況とソフトウェアのライセンスをもとに、移行した後の想定コストを示すビジネスケースを作る必要があります。この要件に最も適した AWS のサービスはどれですか。

  • A. Migration Evaluator
  • B. AWS Pricing Calculator
  • C. AWS Application Discovery Service
  • D. AWS Application Migration Service

答えを決めたら、下を開いてください。

正解を見る(クリックで開きます)

正解:A

Migration Evaluator は、今のサーバーの使用状況とソフトウェアのライセンスを分析して、移行した後の費用を比べるビジネスケースを作る、無料のサービスです。決め手は、ビジネスケースと、使用状況とライセンスをもとに、という言葉です。


正解は A

正解は A の Migration Evaluator です。

  • 今のサーバーの使用状況とライセンスを分析する
  • 移行した後の費用を示すビジネスケースを作る

決め手は、「ビジネスケース」と「使用状況とライセンスをもとに」という言葉です。ここから、選択肢を1つずつ見ていきます。


選択肢ごとの解説

A:Migration Evaluator でビジネスケース(正解)

左から右へ、オンプレミスの約300台、コレクター(エージェントレス)、Migration Evaluator(旧 TSO Logic、無料)、ビジネスケースの順に矢印でつながる。ビジネスケースは今の費用より移行後の費用の棒が低い。下の3枠は、構成・使用状況をエージェントレスで集める、ほかのツールの出力も取り込める、ライセンスも含めて試算する

Migration Evaluator は、移行のビジネスケースを作るための、無料のサービスです。以前は、TSO Logic という名前でした。

図のように、サーバーにエージェントを入れないコレクターで、今のサーバーの構成や使用状況を集めます。ほかのツールの出力を取り込むこともできます。それを分析して、今の費用と、移行した後の費用を比べます。ソフトウェアのライセンスも、試算に含めます。

約300台、使用状況、ライセンス、ビジネスケース。問題文の言葉が、すべて当てはまります。

B:Pricing Calculator は自分で入力(誤り)

左は使う予定の構成を自分で入力する欄(サービス EC2、台数・サイズ、ストレージ)。矢印で中央の AWS Pricing Calculator(料金を見積もる)へ、右の見積もり(月額・年額)へ進む。下の赤い枠に、今のサーバーの使用状況を集めたり分析したりはしない、ビジネスケースを作るものではない

AWS Pricing Calculator は、料金を見積もるツールです。図の左のように、使う予定のサービスと構成を、自分で入力して見積もります。

今のサーバーの使用状況を集めたり、分析したりはしません。約300台の使用状況とライセンスをもとに、ビジネスケースを作る、という要件には合いません。

C:Discovery Service は調べる(誤り)

左のオンプレミスのサーバーから、中央の AWS Application Discovery Service(エージェント・コレクター)へ進み、右で構成・使用状況・依存関係を集めて移行の計画に使う。下の赤い枠に、データは集めるが費用を比べるビジネスケースは作らない。注記は、2025年11月7日から新しい利用者の受け付けを終了

AWS Application Discovery Service は、オンプレミスのサーバーの情報を集めるサービスです。構成、使用状況、依存関係を集めて、移行の計画づくりに役立てます。データは集めますが、費用を比べるビジネスケースは作りません。

なお、このサービスは、2025年11月7日から、新しい利用者の受け付けを終えています。後継として、AWS Transform が案内されています。試験ではまだ出る可能性があるので、調べるサービスという役割を覚えておきましょう。

D:Application Migration Service は移す(誤り)

左はオンプレミスのサーバー(OS・アプリ)。「複製」の矢印で、AWS の中の AWS Application Migration Service へ進み、さらに矢印で「同じサーバーを EC2 で起動」へつながる。下の左の緑の枠は、リホスト:サーバーをそのまま移す(移行の実行)。右の赤い枠は、費用の見積もりや、ビジネスケースを作るものではない

AWS Application Migration Service は、サーバーをそのまま AWS に移すためのサービスです。リホストと呼ばれる移し方です。

図のように、オンプレミスのサーバーを AWS に複製して、EC2 のインスタンスとして起動します。これは移行を実行するためのサービスで、費用の見積もりや、ビジネスケースを作るものではありません。

移行の流れと4つのサービス

左から右へ4つの箱が矢印でつながる。調べる:Application Discovery Service(構成・使用状況・依存関係を集める。2025-11-07 から新規の受け付けを終了)、ビジネスケース:Migration Evaluator(今と移行後の費用を比べる)、見積もり:Pricing Calculator、移す:Application Migration Service

ここで、今回の4つのサービスを、移行の流れに並べて整理します。

  • 調べる:Application Discovery Service。構成や使用状況、依存関係を集める
  • ビジネスケース:Migration Evaluator。今の費用と、移行した後の費用を比べる
  • 見積もり:Pricing Calculator。使う予定の構成を入力して、料金を出す
  • 移す:Application Migration Service。サーバーをそのまま AWS に移す

名前が似ているので、何をするサービスか、で見分けましょう。


ポイント

  • 「使用状況とライセンスから移行後のコスト」「ビジネスケース」

→ Migration Evaluator(無料)

  • Pricing Calculator は、使う予定の構成を 自分で入力 して見積もる
  • 調べる=Application Discovery Service

移す=Application Migration Service

移行のサービスの地図と、Migration Evaluator・Application Discovery Service・AWS MGN の役割の違いは、講座の記事で詳しく解説しています。

講座の全14回は、連載の入口のページから順に読めます。


動画で見る

この回の内容を、YouTube の動画(約5分)でも解説しています。

連載の全回は、YouTube の再生リスト「CLF-C02 試験対策問題」にまとめています。

連載「CLF-C02 試験対策問題」

全回の目次と、読む順番・目的別の読み方は、CLF-C02 試験対策問題の入口のページにまとめています。

  1. 第1問 初期費用をかけずに始めるコストの利点(従量課金・規模の経済)
  2. 第2問 数分でグローバルに展開(世界同時公開と低い遅延)
  3. 第3問 高可用性(EC2 の複数 AZ 配置と RDS マルチ AZ)
  4. 第4問 クラウドの俊敏性(数分で作成・すぐに削除)
  5. 第5問 責任共有モデル(EC2 へのリホストで AWS に任せられること)
  6. 第6問 数時間だけのアクセスのピークに備える(EC2 Auto Scaling・オンデマンド)
  7. 第7問 Well-Architected の6つの柱(信頼性・パフォーマンス効率)
  8. 第8問 信頼性の柱の設計原則(自動で復旧・水平方向のスケール)
  9. 第9問 持続可能性の柱の設計原則(使用率の最大化・マネージドサービス)
  10. 第10問 AWS CAF の変革ジャーニーのフェーズ(構想・連携・ローンチ・スケール)
  11. 第11問 AWS CAF のパースペクティブ(構成管理・パッチ管理はオペレーション)
  12. 第12問 移行のビジネスケース(Migration Evaluator)(この記事)
  13. 第13問 AWS CAF のパースペクティブ(役割と組織の変化は人材)
  14. 第14問 サーバーをそのまま EC2 に移す(AWS Transform MGN)
  15. 第15問 ファイルの移行(AWS DataSync)
  16. 第16問 移行戦略の7つの R(リパーチェス・SaaS への乗り換え)
  17. 第17問 適切なサイズ設定(CPU は余り、メモリが不足)
  18. 第18問 責任共有モデル(Lambda と RDS)
  19. 第19問 最小権限の原則(IAM のポリシーと SCP)
  20. 第20問 責任共有モデル(EC2 と S3、AWS の責任)
  21. 第21問 共有統制の例(責任共有モデルの IT 統制)
  22. 第22問 コンプライアンスの資料と契約(AWS Artifact)
  23. 第23問 脅威の検出(Amazon GuardDuty)
  24. 第24問 脆弱性の継続的なスキャン(Amazon Inspector)
  25. 第25問 S3 の機密データの検出(Amazon Macie)
  26. 第26問 S3 の保管時の暗号化とキーの管理
  27. 第27問 だれが操作したかを調べる(AWS CloudTrail)
  28. 第28問 IAM ユーザーの認証情報の一覧(認証情報レポート)
  29. 第29問 EC2 のアプリケーションに権限を与える(IAM ロール)
  30. 第30問 データベースのパスワードの自動ローテーション(AWS Secrets Manager)
  31. 第31問 社員に一時的な認証情報を発行するサービス(AWS STS)
  32. 第32問 ルートユーザーでなければできない作業(アカウントの閉鎖・メールアドレスの変更)
  33. 第33問 アプリの会員のサインインとソーシャルログイン(Amazon Cognito)
  34. 第34問 同じ IP からの大量のリクエストを止める(AWS WAF のレートベースのルール)
  35. 第35問 追加料金なしの DDoS 保護(AWS Shield Standard)
  36. 第36問 他社のソフトウェアを AMI で使う(AWS Marketplace)
  37. 第37問 インストールなしでブラウザから AWS CLI を使う(AWS CloudShell)
  38. 第38問 同じ構成の環境をコードで何度でも作る(CloudFormation・CDK)
  39. 第39問 工場の中で AWS のサービスを動かすには(AWS Outposts)
  40. 第40問 世界の利用者の近くでキャッシュして配信(Amazon CloudFront)
  41. 第41問 コードを上げるだけで Web アプリを動かすサービス(AWS Elastic Beanstalk)
  42. 第42問 サーバーを管理せずにコンテナを動かす(AWS Fargate)
  43. 第43問 URL のパスで振り分けるロードバランサー(Application Load Balancer)
  44. 第44問 つながりを何段もたどるグラフデータベース(Amazon Neptune)
  45. 第45問 RDS の自動フェイルオーバーと読み取りの分離(マルチ AZ・リードレプリカ)
  46. 第46問 サーバーの管理なしにアクセスの増減に合わせるデータベース(Amazon DynamoDB)
  47. 第47問 セキュリティグループの特徴(ステートフル・インスタンス単位)
  48. 第48問 障害のときだけ別のリージョンへ DNS で切り替え(Route 53 のフェイルオーバールーティング)
  49. 第49問 今あるインターネット回線で、すぐに暗号化してつなぐ(AWS Site-to-Site VPN)
  50. 第50問 一部の管理者だけは解除できる削除の保護(S3 オブジェクトロックのガバナンスモード)
  51. 第51問 めったに見ないがミリ秒で開く画像の保管(S3 Glacier Instant Retrieval)
  52. 第52問 Windows のファイルサーバーを移す(Amazon FSx for Windows File Server)
  53. 第53問 案内文を翻訳して音声で読み上げる(Amazon Translate と Amazon Polly)
  54. 第54問 S3 のデータをカタログにして SQL で照会(AWS Glue と Amazon Athena)
  55. 第55問 依頼をためて、受け付けた順に1回だけ処理(Amazon SQS の FIFO キュー)
  56. 第56問 設備を買わずに電話とチャットの窓口を作る(Amazon Connect)
  57. 第57問 EC2 と自社のサーバーに少しずつ配置し、失敗したら戻す(AWS CodeDeploy)
  58. 第58問 アプリだけをブラウザに配信(WorkSpaces Applications・旧 AppStream 2.0)
  59. 第59問 コア単位のライセンスを持ち込み、同じ物理サーバーで動かす(EC2 の専有ホスト)
  60. 第60問 EC2・Fargate・Lambda と夜間のバッチのコスト削減(Compute Savings Plans・スポット)
  61. 第61問 管理者も外せないリージョンの制限と、請求書の一本化(AWS Organizations の SCP)
  62. 第62問 1つのアカウントの料金をプロジェクトごとに分ける(コスト配分タグ)
  63. 第63問 料金のグラフと予算超えの通知(Cost Explorer・Budgets)
  64. 第64問 アカウントを作る前に料金を見積もる(AWS Pricing Calculator)
  65. 第65問 ベストプラクティスに合わない所を自動で見つける(AWS Trusted Advisor)
  66. 第66問 AWS 側の保守の予定を前もって知る(AWS Health Dashboard)
  67. 第67問 アクセスに合わせて台数を自動で増減する(Amazon EC2 Auto Scaling)
  68. 第68問 パフォーマンス効率の柱の設計原則(高度なテクノロジー・グローバル展開)
  69. 第69問 移行戦略の7つの R(リタイア・使われていないアプリを停止)
  70. 第70問 AWS CAF のパースペクティブ(支出とデータの統制はガバナンス)
  71. 第71問 ライセンスを持たずに SQL Server を使う(RDS のライセンス込み)
  72. 第72問 EC2 と自社のサーバーのパッチを自動で当てる(AWS Systems Manager Patch Manager)
  73. 第73問 障害の教訓を共有し、運用の手順を見直す(運用上の優秀性の設計原則)
  74. 第74問 設定の履歴を記録し、社内ルールに合わないリソースを「非準拠」にする(AWS Config)
  75. 第75問 S3 へのアップロードごとに短い処理をサーバーレスで動かす(AWS Lambda)
  76. 第76問 12のアカウントと SaaS に1回でサインイン(AWS IAM Identity Center)
  77. 第77問 インターネットを通らずに、帯域とレイテンシーを安定させる(AWS Direct Connect)
  78. 第78問 途中でファミリーを変え、前払いできない RI の選び方(コンバーティブル・前払いなし)
  79. 第79問 セキュリティの検出結果を集めて設定もチェック(AWS Security Hub CSPM)
  80. 第80問 AWS CAF のパースペクティブ(イノベーションとデータの収益化はビジネス)
  81. 第81問 特定の IP アドレスの範囲を、サブネットの入り口で拒否する(ネットワーク ACL)
  82. 第82問 組織の外と共有・一般に公開されているリソースを一覧にする(IAM Access Analyzer)
  83. 第83問 複数の AZ の EC2 から NFS で同じファイルを共有する(Amazon EFS)
  84. 第84問 ルートユーザーの守り方と日常の作業(MFA・IAM Identity Center)
  85. 第85問 一括請求の料金の利点(ボリューム料金の階層・リザーブドインスタンスの割引の共有)
  86. 第86問 数ペタバイトの販売データをまとめて毎日集計する(Amazon Redshift)
  87. 第87問 OS のパッチを自社で当てなくてよい移行先(Amazon RDS・AWS Lambda)
  88. 第88問 移行戦略の7つの R(リプラットフォーム・VM をコンテナにして ECS と Fargate へ)
  89. 第89問 GPU の学習と CPU のバッチ処理に合うインスタンスファミリー(高速コンピューティング・コンピューティング最適化)
  90. 第90問 アプリのエラーの件数と CPU 使用率をしきい値で見張り、E メールで知らせる(Amazon CloudWatch)
  91. 第91問 1回の発行で SQS・Lambda・E メールに届ける(Amazon SNS のトピック)
  92. 第92問 部署の人の権限を追加料金なしでまとめて管理(IAM ユーザーグループ)
  93. 第93問 最も詳しいコストのデータを S3 へ(AWS Data Exports の CUR 2.0)
  94. 第94問 視聴履歴とクリックから利用者ごとの動画のおすすめ(Amazon Personalize)
  95. 第95問 攻撃中の専門チームの支援と DDoS のコスト保護(AWS Shield Advanced)
  96. 第96問 AWS CAF のトランスフォーメーションの分野(業務のデジタル化はプロセス)
  97. 第97問 パブリックとプライベートのサブネットに必要な部品(インターネットゲートウェイ・NAT ゲートウェイ)
  98. 第98問 SSH・コンソール・CLI の認証情報の使い分け(キーペアとアクセスキー)
  99. 第99問 よくある質問の解決の記事を読む(AWS re:Post のナレッジセンター)
  100. 第100問 設定値を階層でまとめて追加料金なしで保管(Parameter Store)
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プロフィール詳細は「プロフィール」をご覧ください。
AWS Certified Solutions Architect – Professional (https://www.credly.com/badges/fd8feb88-6f1f-42ff-a94b-445bb6661cb8/public_url)
Nutanix Certified Professional - Multicloud Infrastructure 6 (https://www.credly.com/badges/5c081bef-a425-42e4-809c-85138e676630/public_url)
Palo Alto Networks System Engineer (PSE) - Hardware Firewall Professional (https://www.credly.com/badges/69dc3880-4a51-47eb-8843-47ba6ea7d013/public_url)

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