「Webサイトが開けないとき、DNSのどこを疑えばいいのでしょうか?」
「digの出力が、どこを見ればいいのか分かりません」
DNSは、Webの閲覧、メールの配送、Active Directoryへのログオン、クラウドのサービス間の通信など、ほとんどすべての通信の最初に動いている仕組みです。普段は意識されませんが、止まったり誤った答えを返したりすると、原因の分かりにくい障害として表に出てきます。
連載「DNS入門」は、名前を引いたときに裏側で何が起きているかを登場人物と委任の流れから順に説明し、最後は設計と障害の切り分けを自分でできるところまでを目指す全12回の連載です。このページは、その入口として、各回の内容と読む順番をまとめています。

この連載で分かること
- 名前解決の全体像:スタブリゾルバー・キャッシュDNSサーバー・権威DNSサーバーの3つの登場人物と、1回の名前解決の流れ
- DNSの構造:ドメイン名の階層、ルートとTLD、ゾーンと委任、キャッシュとTTL
- レコードの書き方:SOA・NS・A/AAAA・CNAMEから、MX・SPF・DKIM・DMARC、SRV・PTR・CAA・HTTPSレコードまで
- 運用と調査:ゾーン転送、TTLの設計と安全な変更手順、dig・nslookup・Resolve-DnsNameの出力の読み方
- 守り方と使い方:キャッシュポイズニングとDNSSEC、暗号化DNS、Route 53・AD統合DNS・Kubernetesでの使い方
- 障害対応と設計:切り分けの手順、よくある障害、5つのケースの設計演習
仕様や数値は、2026年9月時点の情報に合わせています。
こんな人に向いています
- サーバーやネットワークの仕事を始めたばかりで、DNSを基礎から学びたい人
- 「DNSのせいかもしれない」障害に出会ったとき、自分で切り分けられるようになりたい人
- ゾーンやレコードの変更、ドメインの移管・サイトの移設を安全に進めたい人
- AWS(Route 53)やActive Directoryの設計で、DNSの考え方を整理したい人
学ぶ順番
全12回を、3つのまとまりに分けています。初めての人は第1回から順に読むのがおすすめです。1回の記事は15分前後で読めます(全部で約3時間)。
仕組みを知る(第1〜4回)
- 第1回 DNSとは?名前解決の全体像と3つの登場人物
hostsファイルからDNSが生まれた経緯、名前解決の2段階、スタブ・キャッシュDNS・権威DNSの役割と、1回の名前解決の流れ。 - 第2回 ドメイン名の階層と委任
ドメイン名の木構造、ルートとTLD、FQDNと末尾のドット、ドメインとゾーンの違い、委任(NS)とグルー、レジストリとレジストラ。 - 第3回 名前解決の流れ
再帰と反復、キャッシュとTTL、ネガティブキャッシュ、フォワーディング、Linux・Windowsのスタブリゾルバーの動き。 - 第4回 DNSメッセージとトランスポート
メッセージの5つの部分とフラグ、UDPとTCPの使い分け、EDNS(0)と1232バイトの理由、RCODEと拡張エラー(EDE)。
レコードと運用(第5〜8回)
- 第5回 リソースレコード 前編
ゾーンファイルの書き方と末尾のドットの落とし穴、SOA・NS・A/AAAA・CNAME、頂点を別名で向けるALIAS、ワイルドカード。 - 第6回 リソースレコード 後編
MXと送信ドメイン認証(SPF・DKIM・DMARC)、ADで使うSRV、逆引きのPTR、証明書のCAA、HTTPS/SVCBレコード。 - 第7回 権威DNSサーバーの運用
プライマリとセカンダリ、ゾーン転送、シリアル番号、TTLの設計と移行前の変更手順、スプリットホライズン、DNS製品の選び方。 - 第8回 コマンドで調べる
digの出力の読み方と主なオプション、+trace、delv、nslookup、Resolve-DnsName、resolvectl、パケットキャプチャ。
守る・使う・直す(第9〜12回)
- 第9回 DNSのセキュリティ
キャッシュポイズニング、DNSSECと信頼の連鎖、ルートKSKの更新、リフレクション攻撃、サブドメインテイクオーバー、DoT・DoH・DoQ。 - 第10回 クラウド・社内環境のDNS
Route 53のホストゾーンとルーティング、VPCのDNSとResolverエンドポイント、ハイブリッドの名前解決、AD統合DNS、KubernetesのCoreDNS。 - 第11回 DNSトラブルシュート
クライアント→キャッシュDNS→権威DNS→委任の順の切り分け、「反映されない」「SERVFAIL」などよくある障害、連載の早見表。 - 第12回 DNS設計演習
ADのドメイン名、止めずにサイトを移設する手順、オンプレとAWSの相互の名前解決、障害の切り分け、ドメインの棚卸しの5問。
目的別の読み方
全部を読む時間が無いときは、困っていることに近い回から読んでください。
| 困っていること・知りたいこと | まず読む回 |
|---|---|
| 名前が引けない・一部の人だけサイトが開けない | 第11回 → 第8回 |
| レコードを変えたのに反映されない | 第3回(キャッシュとTTL)→ 第7回(変更手順) |
| digやnslookupの出力が読めない | 第8回 → 第4回 |
| メールが届かない・なりすましを防ぎたい | 第6回 |
| サーバーやWebサイトを移設する | 第7回 → 第12回 |
| AWSやActive DirectoryのDNSを設計する | 第10回 → 第12回 |
| DNSを狙う攻撃と対策を知りたい | 第9回 |
動画で見る
連載の内容は、YouTube の動画でも解説しています。第1回の動画はこちらです。
全回は、YouTube の再生リスト「DNS入門」にまとめています。
あわせて読みたい連載
DNSは、ほかの仕組みの土台にもなっています。DNSの知識がそのまま役に立つ連載です。
- 連載「メール入門」:MXレコードで宛先のサーバーを探す配送の仕組みと、送信ドメイン認証(SPF・DKIM・DMARC)を詳しく解説しています
- 連載「証明書入門」:証明書を発行できる認証局を決めるCAAレコードや、DNSを使ったドメイン認証が出てきます
- 連載「クラウド入門」:AWSのRoute 53とRoute 53 Resolverを、ネットワーク全体の中で位置づけています
よくある質問
前提の知識はどのくらい必要ですか?
IPアドレス・ポート番号・UDPとTCPという言葉を聞いたことがあれば十分です。用語は出てきたところで説明しています。
どの回から読めばいいですか?
初めての人は第1回から順に読んでください。第1〜3回で全体像をつかむと、後の回の説明が理解しやすくなります。特定の困りごとがある人は、上の「目的別の読み方」から読み始めても構いません。
内容はいつの時点の情報ですか?
仕様や数値は2026年9月時点の情報に合わせています。DNSの基本の仕組みはほとんど変わりませんが、製品の機能やセキュリティの動向は変わることがあるため、記事の中で日付を添えています。