【CLF-C02 試験対策問題 第16問】移行戦略の7つの R(リパーチェス・SaaS への乗り換え)

CLF-C02 試験対策問題 第16問 移行戦略の7つの R(リパーチェス・SaaS への乗り換え) クラウド

「リホスト、リプラットフォーム、リパーチェス……。カタカナが似ていて、どれがどの戦略だったか分からなくなります」
「問題文のどの言葉を手がかりにすれば、7つの R のどれに当たるのか決められるのでしょうか」

AWS Certified Cloud Practitioner(試験コード CLF-C02。以下 CLF)では、移行の計画の言い方から、7つの R のどの戦略に当たるかを見分ける問題がよく出ます。「そのまま移す」「一部を最適化する」「別の製品に置き換える」「やめる」といった、計画の中身の言葉が決め手になります。

この記事は、CLF の練習問題を1問ずつ解説する連載の第16問です。問題は筆者が試験の範囲に合わせて作ったもので、実際の試験の問題ではありません。まず自分で答えを選んでから、解説を読んでください。

▶ この回の内容は、YouTube の動画(約4分)でも見られます(記事の最後にも埋め込んであります)。


問題

ある企業は、自社で開発した経費精算システムをオンプレミスで運用してきました。システムを保守できる社員が少なくなったため、AWS への移行に合わせて、このシステムを使うのをやめ、クラウドで提供される SaaS の経費精算サービスに切り替えて、これまでのデータを移すことにしました。この計画に当たる移行戦略はどれですか。

  • A. リホスト(リフト&シフト)
  • B. リパーチェス(再購入)
  • C. リプラットフォーム
  • D. リタイア(廃止)

答えを決めたら、下を開いてください。

正解を見る(クリックで開きます)

正解:B

自社のシステムをやめて、クラウドで提供される SaaS に置き換える計画は、リパーチェス(再購入)に当たります。別の製品に買い替える戦略で、データはそちらへ移します。


正解は B

正解は B のリパーチェス(再購入)です。

  • 自社のシステムを使うのをやめて、SaaS という別の製品に置き換える。これがリパーチェス
  • 決め手は、問題文の「このシステムを使うのをやめ、SaaS に切り替える」という言葉

ここから、選択肢を1つずつ見ていきます。


選択肢ごとの解説

A:リホストは自社のシステムのまま(誤り)

左は今のシステムで、自社開発の経費精算システムとこれまでのデータがあり、保守できる社員が少ない。右向きの矢印「リホスト(リフト&シフト)」の先の右は移行後の AWS で、自社開発の経費精算システムをそのまま EC2 で動かし、アプリは変更しない。下に「自社のシステムを使い続ける → 今回の計画とは違う」

リホストは、リフトアンドシフトとも呼ばれます。アプリケーションを変更せずに、そのまま AWS に移す戦略です。図のように、自社開発の経費精算システムを、そのまま EC2 で動かす形になります。自社のシステムを使い続けるので、使うのをやめるという今回の計画とは違います。

B:リパーチェスは SaaS に買い替え(正解)

左は今のシステムで、自社開発の経費精算システムに×が付き「使うのをやめる」、これまでのデータは右へ移す。右向きの矢印「リパーチェス(再購入)」の先の右は移行後の SaaS に乗り換えで、SaaS の経費精算サービスで経費精算は続けて使え、購入した後にデータの移行とユーザーの研修を行う。下に「計画と一致:別の製品に買い替える。インフラの管理・保守の負担も減る」

リパーチェスは、再購入、またはドロップアンドショップとも呼ばれます。アプリケーションを、別のバージョンや製品に置き換える戦略です。従来のライセンスや自社開発のシステムから、SaaS に乗り換えるのが代表的な例です。インフラの管理や保守の負担が減るので、保守できる社員が少ないという事情にも合います。図の右のように、購入した後に、データの移行とユーザーの研修を行います。

C:リプラットフォームは一部を最適化(誤り)

左は今のシステムで、自社開発の経費精算システムとこれまでのデータがあり、保守できる社員が少ない。右向きの矢印「リプラットフォーム」の先の右は移行後の AWS で、自社のシステムは EC2 で使い続け、データベースは Amazon RDS に移す。移しながら一部を最適化する。下に「自社のシステムを使い続けるのが前提 → 今回の計画とは違う」

リプラットフォームは、アプリケーションを移しながら、一部を最適化する戦略です。図のように、たとえばデータベースを Amazon RDS に移して、管理の手間を減らします。ただし、自社のシステムを使い続けることが前提です。システムをやめる今回の計画には当たりません。

D:リタイアは機能も無くなる(誤り)

左は今のシステムで、自社開発の経費精算システムに×が付き「停止して廃止」。右向きの矢印「リタイア(廃止)」の先の右は移行後でシステムを廃止し、システムを停止して必要ならアーカイブし、経費精算の機能も無くなる。ビジネスの価値が無いアプリをやめる。下に「経費精算は SaaS で使い続ける → 廃止ではなく、置き換え」

リタイアは、ビジネスの価値が無くなったアプリケーションを、停止して、廃止やアーカイブをする戦略です。リタイアすると、そのアプリケーションの機能も無くなります。今回は、経費精算の機能を SaaS で使い続けます。廃止ではなく別の製品への置き換えなので、リパーチェスに当たります。


移行戦略の7つの R

ここで、移行戦略の7つの R を整理しておきます。やめるのがリタイア、移さずに残すのがリテインです。リパーチェスは別の製品への買い替えで、リファクタリングはリアーキテクトとも呼ばれます。

移行戦略一言で
リタイア(廃止)やめる:停止して、廃止・アーカイブ
リテイン移さずに残す
リホスト(リフト&シフト)そのまま移す:アプリを変更しない
リロケートプラットフォームごとクラウド版に移す/アプリの構成は変えない
リパーチェス(再購入)別の製品に買い替える:SaaS など
リプラットフォーム少し最適化して移す/例:DB を Amazon RDS に
リファクタリング(リアーキテクト)作り直す:クラウドネイティブの機能を活かして構成を変える

AWS の日本語の資料(2026-10-25 確認)では、リパーチェスは「再購入」、リファクタリングは「リファクタリングまたはリアーキテクト」と書かれています。


ポイント

  • 自社のシステムをやめて SaaS に乗り換える → リパーチェス(再購入)
  • そのまま移す=リホスト 一部を最適化して移す=リプラットフォーム
  • やめて機能も無くなる=リタイア、機能を使い続けるなら、置き換え(リパーチェス)

7つの R の全体と、リパーチェス・リテイン・リタイアの見分け方は、講座の記事で詳しく解説しています。

講座の全14回は、連載の入口のページから順に読めます。


動画で見る

この回の内容を、YouTube の動画(約4分)でも解説しています。

連載の全回は、YouTube の再生リスト「CLF-C02 試験対策問題」にまとめています。

連載「CLF-C02 試験対策問題」

全回の目次と、読む順番・目的別の読み方は、CLF-C02 試験対策問題の入口のページにまとめています。

  1. 第1問 初期費用をかけずに始めるコストの利点(従量課金・規模の経済)
  2. 第2問 数分でグローバルに展開(世界同時公開と低い遅延)
  3. 第3問 高可用性(EC2 の複数 AZ 配置と RDS マルチ AZ)
  4. 第4問 クラウドの俊敏性(数分で作成・すぐに削除)
  5. 第5問 責任共有モデル(EC2 へのリホストで AWS に任せられること)
  6. 第6問 数時間だけのアクセスのピークに備える(EC2 Auto Scaling・オンデマンド)
  7. 第7問 Well-Architected の6つの柱(信頼性・パフォーマンス効率)
  8. 第8問 信頼性の柱の設計原則(自動で復旧・水平方向のスケール)
  9. 第9問 持続可能性の柱の設計原則(使用率の最大化・マネージドサービス)
  10. 第10問 AWS CAF の変革ジャーニーのフェーズ(構想・連携・ローンチ・スケール)
  11. 第11問 AWS CAF のパースペクティブ(構成管理・パッチ管理はオペレーション)
  12. 第12問 移行のビジネスケース(Migration Evaluator)
  13. 第13問 AWS CAF のパースペクティブ(役割と組織の変化は人材)
  14. 第14問 サーバーをそのまま EC2 に移す(AWS Transform MGN)
  15. 第15問 ファイルの移行(AWS DataSync)
  16. 第16問 移行戦略の7つの R(リパーチェス・SaaS への乗り換え)(この記事)
  17. 第17問 適切なサイズ設定(CPU は余り、メモリが不足)
  18. 第18問 責任共有モデル(Lambda と RDS)
  19. 第19問 最小権限の原則(IAM のポリシーと SCP)
  20. 第20問 責任共有モデル(EC2 と S3、AWS の責任)
  21. 第21問 共有統制の例(責任共有モデルの IT 統制)
  22. 第22問 コンプライアンスの資料と契約(AWS Artifact)
  23. 第23問 脅威の検出(Amazon GuardDuty)
  24. 第24問 脆弱性の継続的なスキャン(Amazon Inspector)
  25. 第25問 S3 の機密データの検出(Amazon Macie)
  26. 第26問 S3 の保管時の暗号化とキーの管理
  27. 第27問 だれが操作したかを調べる(AWS CloudTrail)
  28. 第28問 IAM ユーザーの認証情報の一覧(認証情報レポート)
  29. 第29問 EC2 のアプリケーションに権限を与える(IAM ロール)
  30. 第30問 データベースのパスワードの自動ローテーション(AWS Secrets Manager)
  31. 第31問 社員に一時的な認証情報を発行するサービス(AWS STS)
  32. 第32問 ルートユーザーでなければできない作業(アカウントの閉鎖・メールアドレスの変更)
  33. 第33問 アプリの会員のサインインとソーシャルログイン(Amazon Cognito)
  34. 第34問 同じ IP からの大量のリクエストを止める(AWS WAF のレートベースのルール)
  35. 第35問 追加料金なしの DDoS 保護(AWS Shield Standard)
  36. 第36問 他社のソフトウェアを AMI で使う(AWS Marketplace)
  37. 第37問 インストールなしでブラウザから AWS CLI を使う(AWS CloudShell)
  38. 第38問 同じ構成の環境をコードで何度でも作る(CloudFormation・CDK)
  39. 第39問 工場の中で AWS のサービスを動かすには(AWS Outposts)
  40. 第40問 世界の利用者の近くでキャッシュして配信(Amazon CloudFront)
  41. 第41問 コードを上げるだけで Web アプリを動かすサービス(AWS Elastic Beanstalk)
  42. 第42問 サーバーを管理せずにコンテナを動かす(AWS Fargate)
  43. 第43問 URL のパスで振り分けるロードバランサー(Application Load Balancer)
  44. 第44問 つながりを何段もたどるグラフデータベース(Amazon Neptune)
  45. 第45問 RDS の自動フェイルオーバーと読み取りの分離(マルチ AZ・リードレプリカ)
  46. 第46問 サーバーの管理なしにアクセスの増減に合わせるデータベース(Amazon DynamoDB)
  47. 第47問 セキュリティグループの特徴(ステートフル・インスタンス単位)
  48. 第48問 障害のときだけ別のリージョンへ DNS で切り替え(Route 53 のフェイルオーバールーティング)
  49. 第49問 今あるインターネット回線で、すぐに暗号化してつなぐ(AWS Site-to-Site VPN)
  50. 第50問 一部の管理者だけは解除できる削除の保護(S3 オブジェクトロックのガバナンスモード)
  51. 第51問 めったに見ないがミリ秒で開く画像の保管(S3 Glacier Instant Retrieval)
  52. 第52問 Windows のファイルサーバーを移す(Amazon FSx for Windows File Server)
  53. 第53問 案内文を翻訳して音声で読み上げる(Amazon Translate と Amazon Polly)
  54. 第54問 S3 のデータをカタログにして SQL で照会(AWS Glue と Amazon Athena)
  55. 第55問 依頼をためて、受け付けた順に1回だけ処理(Amazon SQS の FIFO キュー)
  56. 第56問 設備を買わずに電話とチャットの窓口を作る(Amazon Connect)
  57. 第57問 EC2 と自社のサーバーに少しずつ配置し、失敗したら戻す(AWS CodeDeploy)
  58. 第58問 アプリだけをブラウザに配信(WorkSpaces Applications・旧 AppStream 2.0)
  59. 第59問 コア単位のライセンスを持ち込み、同じ物理サーバーで動かす(EC2 の専有ホスト)
  60. 第60問 EC2・Fargate・Lambda と夜間のバッチのコスト削減(Compute Savings Plans・スポット)
  61. 第61問 管理者も外せないリージョンの制限と、請求書の一本化(AWS Organizations の SCP)
  62. 第62問 1つのアカウントの料金をプロジェクトごとに分ける(コスト配分タグ)
  63. 第63問 料金のグラフと予算超えの通知(Cost Explorer・Budgets)
  64. 第64問 アカウントを作る前に料金を見積もる(AWS Pricing Calculator)
  65. 第65問 ベストプラクティスに合わない所を自動で見つける(AWS Trusted Advisor)
  66. 第66問 AWS 側の保守の予定を前もって知る(AWS Health Dashboard)
  67. 第67問 アクセスに合わせて台数を自動で増減する(Amazon EC2 Auto Scaling)
  68. 第68問 パフォーマンス効率の柱の設計原則(高度なテクノロジー・グローバル展開)
  69. 第69問 移行戦略の7つの R(リタイア・使われていないアプリを停止)
  70. 第70問 AWS CAF のパースペクティブ(支出とデータの統制はガバナンス)
  71. 第71問 ライセンスを持たずに SQL Server を使う(RDS のライセンス込み)
  72. 第72問 EC2 と自社のサーバーのパッチを自動で当てる(AWS Systems Manager Patch Manager)
  73. 第73問 障害の教訓を共有し、運用の手順を見直す(運用上の優秀性の設計原則)
  74. 第74問 設定の履歴を記録し、社内ルールに合わないリソースを「非準拠」にする(AWS Config)
  75. 第75問 S3 へのアップロードごとに短い処理をサーバーレスで動かす(AWS Lambda)
  76. 第76問 12のアカウントと SaaS に1回でサインイン(AWS IAM Identity Center)
  77. 第77問 インターネットを通らずに、帯域とレイテンシーを安定させる(AWS Direct Connect)
  78. 第78問 途中でファミリーを変え、前払いできない RI の選び方(コンバーティブル・前払いなし)
  79. 第79問 セキュリティの検出結果を集めて設定もチェック(AWS Security Hub CSPM)
  80. 第80問 AWS CAF のパースペクティブ(イノベーションとデータの収益化はビジネス)
  81. 第81問 特定の IP アドレスの範囲を、サブネットの入り口で拒否する(ネットワーク ACL)
  82. 第82問 組織の外と共有・一般に公開されているリソースを一覧にする(IAM Access Analyzer)
  83. 第83問 複数の AZ の EC2 から NFS で同じファイルを共有する(Amazon EFS)
  84. 第84問 ルートユーザーの守り方と日常の作業(MFA・IAM Identity Center)
  85. 第85問 一括請求の料金の利点(ボリューム料金の階層・リザーブドインスタンスの割引の共有)
  86. 第86問 数ペタバイトの販売データをまとめて毎日集計する(Amazon Redshift)
  87. 第87問 OS のパッチを自社で当てなくてよい移行先(Amazon RDS・AWS Lambda)
  88. 第88問 移行戦略の7つの R(リプラットフォーム・VM をコンテナにして ECS と Fargate へ)
  89. 第89問 GPU の学習と CPU のバッチ処理に合うインスタンスファミリー(高速コンピューティング・コンピューティング最適化)
  90. 第90問 アプリのエラーの件数と CPU 使用率をしきい値で見張り、E メールで知らせる(Amazon CloudWatch)
  91. 第91問 1回の発行で SQS・Lambda・E メールに届ける(Amazon SNS のトピック)
  92. 第92問 部署の人の権限を追加料金なしでまとめて管理(IAM ユーザーグループ)
  93. 第93問 最も詳しいコストのデータを S3 へ(AWS Data Exports の CUR 2.0)
  94. 第94問 視聴履歴とクリックから利用者ごとの動画のおすすめ(Amazon Personalize)
  95. 第95問 攻撃中の専門チームの支援と DDoS のコスト保護(AWS Shield Advanced)
  96. 第96問 AWS CAF のトランスフォーメーションの分野(業務のデジタル化はプロセス)
  97. 第97問 パブリックとプライベートのサブネットに必要な部品(インターネットゲートウェイ・NAT ゲートウェイ)
  98. 第98問 SSH・コンソール・CLI の認証情報の使い分け(キーペアとアクセスキー)
  99. 第99問 よくある質問の解決の記事を読む(AWS re:Post のナレッジセンター)
  100. 第100問 設定値を階層でまとめて追加料金なしで保管(Parameter Store)
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プロフィール詳細は「プロフィール」をご覧ください。
AWS Certified Solutions Architect – Professional (https://www.credly.com/badges/fd8feb88-6f1f-42ff-a94b-445bb6661cb8/public_url)
Nutanix Certified Professional - Multicloud Infrastructure 6 (https://www.credly.com/badges/5c081bef-a425-42e4-809c-85138e676630/public_url)
Palo Alto Networks System Engineer (PSE) - Hardware Firewall Professional (https://www.credly.com/badges/69dc3880-4a51-47eb-8843-47ba6ea7d013/public_url)

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