確定拠出年金のメリットとデメリット

確定拠出年金

前回,確定拠出年金について勉強したことを書いていく.と宣言していますので理解した範囲で(間違いもある気がしますが)書いていきます.

確定拠出年金とは

概要

年金には「確定給付型」と「確定拠出型」があり,確定給付型は加入者の加入実績,在職時の平均的な月収等に応じて給付額が確定している年金.
一方,確定拠出型は掛金が確定しており,運用実績に応じて給付額が異なってくる年金.
ということで,確定給付型が一般的な年金制度ですね.
確定拠出年金は名前のとおり確定拠出型で,毎月かけられる掛け金の上限が決まっていて,その掛け金を元に加入者が自分の判断で運用(指図)を行います.
そのため,運用に成功すれば年金額が多くなり,失敗してしまった場合元本割れの可能性もあります

企業型と個人型

確定拠出年金は,企業型と個人型があり,企業型を採用している会社に勤めている場合は企業型に加入することになり,企業型を採用していない企業に勤めている方や,個人事業者等の場合は個人型に加入することになります.
確定拠出年金は1つのみ加入することができ,企業型と個人型の両方に加入することや,個人型を複数加入することはできません

ポータビリティ

転職する場合等,一般的な退職金制度や年金制度ではお金を受け取ることができずにあきらめる必要がある場合がありました.ですが,確定拠出年金の場合は拠出した段階でその拠出金は各個人のお金となるので,転職時にそのまま転職先の企業型401Kもしくは個人型に移管することができます
ただ,原則として60歳までは解約不可ですので注意する必要があります.

メリット

税制面での優遇

確定拠出年金に加入する一番大きいメリットはなんと言っても税制面ではないでしょうか.
拠出,運用,受給での税制優遇措置を受けることができます.

拠出時

掛け金の拠出時,個人の所得とはみなされません.確定拠出年金採用企業で,未加入の社員には退職金の前払い等を実施している場合,前払いでもらうと給与所得になる為所得税等の税金がかかりますが,確定拠出年金として拠出した場合は給与所得にはならず,その分の税金が控除できることになります.
企業型を採用していない会社の場合は個人型になりますが,個人型でも同様に拠出分は全額所得控除の対象となります.

控除額と節税額

所得税等の控除ができる.と書きましたが、どの程度が実際に節税となるのか? が気になる所だと思います.
確定拠出年金に加入しておらず,給与所得として受け取っていた場合と比較するとこんな感じになります.

企業型且つ企業年金制度と併用の場合は,毎月 \25,000 が上限となります.
年間 \306,000 拠出した場合は以下の通りです.

課税所得額が 195-330万円の場合: 税率10%、\30,600 の節税
課税所得額が 330-695万円の場合: 税率20%、\61,200 の節税
課税所得額が 695-900万円の場合: 税率23%、\70,380 の節税

企業型且つ企業年金制度と併用していない場合は,毎月 \51,000 が上限となります.
年間 \612,000 拠出した場合は以下の通りです.

課税所得額が 195-330万円の場合: 税率10%、\61,200 の節税
課税所得額が 330-695万円の場合: 税率20%、\122,400 の節税
課税所得額が 695-900万円の場合: 税率23%、\140,760 の節税

単純に節税額だけを見てもメリットが大きいのですが,確定拠出年金に加入せず,独自に運用すると考えた場合,確定拠出年金で運用する場合と同等の利益を出したい場合,上記税金分も含めて利益を出す必要がありますのでその分ハイリスクな運用を行う必要が出てきます.

運用時

確定拠出年金で運用中に得られた 利益(キャピタルゲイン)は非課税 です.
その為,通常の運用では配当や分配金の再投資を行う場合は税金を引いた額での投資となりますが,確定拠出年金の場合は運用益全額を再投資することになりますので,運用金額がより増えることになります.
再投資にまわせる金額が増えるということは,運用金額が増えること以外にも,多くの金額を長い期間運用にまわせることになりますので,複利効果を高められるというメリットがあります.

給付時

給付の際,一時金で受け取る場合は退職金の扱いとなる為「退職所得控除」が適用されますし,年金として定期的に給付を受ける場合は「公的年金等控除」が適用されます.
併用して給付を受けることができるようですので,退職金及び年金として上手に節税して受け取っていきたいですね.
なお,退職所得控除は勤続年数で変わり,以下の通りとなります.

勤続年数20年以下の場合: 40万x勤続年数
勤続年数20年以上の場合: 800万+70万x(勤続年数-20)

30年だとした場合,800+70x(30-20) = 1,500万 が控除額となります.

デメリット

運用リスクがある

リスクの無い,元本保証型の運用商品もありますが,ほとんどの商品は元本割れのリスクがあります.右肩上がりの経済成長を遂げることが分かっていればそのリスクもほとんどないと言えるのですが,昨今でもリーマンショックや大きな地震等がありましたし,いくらアベノミクスと言われていても未来はわからないものです.
従って,確定拠出年金を利用するにあたり,リスクをどのように分散していくのか.をセットで考えていく必要があります.
元本保証型でも通常の定期預金よりは前述の税制面の優遇措置から利回りは良いのですが,インフレの局面では価値が下がってしまうというリスクもあります.
そもそもで今まで確定給付型を採用していた企業が確定拠出年金に切り替える企業が増えてきた経緯を考えると,元々の想定できた退職金や企業年金と同程度としたい場合はリスクを取るしか方法が無いのかと思います.

途中解約ができない

確定拠出年金は拠出したお金は 原則的に60歳まで受け取れません.また,途中で解約することも出来ず転職時に転職先が確定拠出年金に対応していない場合は個人型へ切り替える。等の対応を行う必要があります.
解約ができないという事で,この拠出したお金は流動性が無い状態となりますので,ライフイベントで必要になった場合でも手をつけることができません.

ただし,解約不可というのは自分のようなお金にルーズな人にはむしろメリットになるものだと思います.
私自身,今までこの途中解約不可ということと上述のリスクがある.ということから確定拠出年金の加入をずっと見送っていましたが,預金等が出来たのか?というと「いいえ。全然w」という状態でしたので…

流動性という意味だと,本家401ではこの拠出分を担保としてお金を借りることが出来るようです.イメージ的には貯蓄型の保険に加入しており,それを担保に少し借りられる.というものに近いのかなと思います.

転職時に資格を失う

一番大きいと思われる問題がこれだと思います.確定拠出年金に加入している状態で転職した場合.かつ,企業年金(厚生年金基金)がある場合.かつ,その企業が確定拠出型年金未採用の場合,個人型への移行も出来ず追加の拠出が行えないまま運用指図のみ行う.なんていう状態が起こります.
こうなると拠出金額が少ない場合はいくら運用指図を行っても口座管理手数料等の各手数料分も稼ぐことも難しくなります.その場合、毎年手数料分お金が減って行くのを見届ける.なんてことが起こりえるかと思います.

特別法人税の今後が不透明

現在,退職年金等積立金に対する特別法人税の税率は 1.173% ですが,凍結されている為実際は税金はかかっていない状態です.
ただ、現状廃止ではなく凍結であるというところに注意が必要です.
この特別法人税は積立金残高にかかりますので,もし凍結解除された場合毎年 1.173% の税金が課税されることとなり,これが実質の手数料と考えた場合はこれ以上の運用利回りを行う必要があります.

右肩上がりの状況ではないため,撤回の提言・議論等が行われているようですので今後の動向に注目ですね.
個人的な考えですが,1999 年から凍結が開始されすでに 10 年以上経っている状況ですので凍結解除の可能性はとても低いだろうと考えています.

と書いていくと,デメリットのインパクトがメリットよりも大きい気がします.思えば当時,会社にどれだけいるのかも不透明だったことも加入を見送った理由の一つだった気がします.
じゃぁなんで今は加入したのか?というところでは「401Kを始めようと思ったわけ」にも書いたとおり結婚して子供もいる中,自分のそのあとを考え始めた中で全然お金が貯まっていないという状況がまずいと思ったからでした.

以上,確定拠出年金について自分なりに理解した事を纏めてみました.参考になれば幸いです.

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