Windows ファイルサーバー – DFS (Distributed File System/分散ファイルシステム) と DFSR (DFS Replication/DFS レプリケーション)

ファイルサーバー

今回は,今後のクライアントのプロファイル置き場として利用するための,DFS (Distributed File System/分散ファイルシステム) と DFSR (DFS Replication/DFS レプリケーション) を用いた冗長化されたファイルサーバーについて説明します.

DFS(Distributed File System / 分散ファイルシステム)とは

DFS(Distributed File System)は,Windows Server が提供している機能の一つで,複数のコンピューター (や ファイルサーバー,NAS) に存在する共有フォルダーを一元的に管理する機能です.
主な機能として「DFS 名前空間」と「DFS レプリケーション」の二つがあります.

DFS 名前空間とは

DFS とは Distributed File System / 分散ファイルシステム の名前のとおり,複数のコンピューターやファイルサーバー上で共有されているフォルダーの所在 (ファイルサーバーパス) を一つのサーバー上で一元管理してあたかも一つの大きなファイルサーバーとフォルダーツリーのおように見せる機能です.

物理的なコンピューターの配置やフォルダーの階層構造とは独立して,統合された名前空間の上で新たに共有フォルダーを提供したり,階層構造を任意に設定することができます.

DFS 名前空間は,ドメイン空間とスタンドアロン空間の二つがあります.
ドメイン空間の場合,ファイルサーバー名はドメイン名となり「\<ドメイン名>\<パス>」という形でアクセスできるようになります.
スタンドアロン空間の場合,ファイルサーバー名はそのホスト名となり「\<ファイルサーバー名>\<パス>」という形でアクセスできるようになります.

ドメイン空間を利用する場合,DFS の構成情報を Active Directory ドメインサービスとして持つため,ドメインコントローラーが1台存在している限りはサービスは継続可能となります.
スタンドアロンで構成した場合は冗長をとるために別途クラスターを構成する必要があります.

DFSR (DFS Replication / DFS レプリケーション) とは

複数のコンピューターのフォルダーを関連付け,そのフォルダー内部のファイルやフォルダーを自動的に複製することで可用性の向上や負荷分散を図る機能です.

複数のコンピューターをグループ化し,グループ内の指定したフォルダーを自動的に複製します.複製は初回はフルコピーとなりますが,その後は変更を検知して変更されたファイル,フォルダーのみを複製の対象とします.複製の頻度やデータの転送に使用する帯域の上限を設定することも可能で,東京と大阪など物理的に離れた場所間の複製も考慮されています.

複製の方向は片方向と双方向が指定でき,一台のコンピューターをマスターにして他のコンピューターをミラーとすることも,すべてのコンピューターで互いに変更を反映し合うようにすることも可能です.

指定されたフォルダーで,その中のサブフォルダーを複製から除外するなどの細かい指定も可能です.また,共有設定されたフォルダーだけでなく,共有しないフォルダーを DFSR で同期をとるよう設定する,純粋なレプリケーションソフトウェアとしての利用も可能です.

Active Directory ドメインサービスの SYSVOL 共有のアクセス先は「\<ドメイン名>\SYSVOL」ですが,これには DFS および DFSR の技術が用いられているため,ドメインコントローラーの場所を意識する必要がなく,かつ,SYSVOL 共有はどのドメインコントローラーにアクセスしても同じものが見えるようになっています.

DFS (DFS 名前空間) のインストール

では,ここから DFS 名前空間のインストールと構成について説明を行います.
この手順を DFS 名前空間を構成するサーバーすべてで実施してください.

役割と機能の追加

役割の追加にて DFS 名前空間のインストールを行います.
サーバーマネージャーの「役割と機能の追加」をクリックします.

役割と機能の追加ウィザードが開始しますので「次へ」をクリックします.

「役割ベースまたは機能ベースのインストール」を選択して「次へ」をクリックします.

「サーバープールからサーバーを選択」を選択し,自身のサーバー名を選択して「次へ」をクリックします.

役割の選択にて「DFS 名前空間」をクリックします.

役割と追加ウィザードが表示されるので「管理ツールを含める」にチェックが入っていることを確認して「機能の追加」をクリックします.

元の画面に戻るので「次へ」をクリックします.

機能の追加はそのまま「次へ」をクリックします.

インストールオプションの確認にて「インストール」をクリックします.

役割のインストールが完了したことを確認して「閉じる」をクリックします.
ここは事前に閉じてしまっても影響はありません.

以上で「DFS 名前空間」の役割の追加が完了しました.

DFS レプリケーションのインストール

では,ここから DFS 名前空間のインストールと構成について説明を行います.
この手順を DFS 名前空間を構成するサーバーすべてで実施してください.

役割と機能の追加

役割の追加にて DFS レプリケーションのインストールを行います.
サーバーマネージャーの「役割と機能の追加」をクリックします.

役割と機能の追加ウィザードが開始しますので「次へ」をクリックします.

「役割ベースまたは機能ベースのインストール」を選択して「次へ」をクリックします.

「サーバープールからサーバーを選択」を選択し,自身のサーバー名を選択して「次へ」をクリックします.

役割の選択にて「DFS レプリケーション」をクリックして「次へ」をクリックします.

機能の追加はそのまま「次へ」をクリックします.

インストールオプションの確認にて「インストール」をクリックします.

役割のインストールが完了したことを確認して「閉じる」をクリックします.
ここは事前に閉じてしまっても影響はありません.

以上で「DFS レプリケーション」の役割の追加が完了しました.

次回は DFS 名前空間及びレプリケーションの構成を行い冗長化されたファイルサーバーの構築の解説を行います.

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