「俊敏性と言われても、『コスト最適化』や『便利さ』との区別がつきません」
「3年分を約束して安くなるのも、クラウドの良さなので、俊敏性の例ではないのですか」
AWS Certified Cloud Practitioner(試験コード CLF-C02。以下 CLF)では、俊敏性を、具体的な場面の言葉から見分ける問題がよく出ます。今回は、プロトタイプを何度も作り直す開発チームの例から、俊敏性として正しいものを2つ選びます。
この記事は、CLF の練習問題を1問ずつ解説する連載の第4問です。問題は筆者が試験の範囲に合わせて作ったもので、実際の試験の問題ではありません。まず自分で答えを選んでから、解説を読んでください。
▶ この回の内容は、YouTube の動画(約4分)でも見られます(記事の最後にも埋め込んであります)。
問題
ある企業の開発チームは、新機能のプロトタイプを短い間隔で何度も作り直し、利用者の反応を確かめたいと考えています。AWS クラウドを利用することで得られる、俊敏性の例として正しいものはどれですか。(2つ選択)
- A. 必要な環境を、API やマネジメントコンソールから数分で作成できる
- B. 検証用のサーバーを購入し、社内のサーバールームで長期間保管できる
- C. AWS のエンジニアが、プロトタイプのアプリケーションを代わりに開発する
- D. 3年分の利用を約束して、インスタンスの料金を下げられる
- E. 不要になった検証環境をすぐに削除し、その後の料金の発生を止められる
答えを2つ決めたら、下を開いてください。
正解を見る(クリックで開きます)
正解:A と E
A は環境を数分で作成できること、E は不要になった環境をすぐに削除して料金を止められることです。どちらも、すぐに試して、すぐにやめられるという俊敏性の例です。
正解は A と E
正解は A と E です。
- A:必要な環境を数分で作成できる
- E:不要になった環境をすぐに削除して、料金を止められる
どちらも、すぐに試して、すぐにやめられる、という俊敏性の例です。ここから、選択肢を1つずつ見ていきます。
選択肢ごとの解説
A:必要な環境を数分で作成できる(正解)

オンプレミス(自社でサーバーを持つ形)では、見積もり、発注、納品、設置と進むので、サーバーの調達に数週間以上かかります。AWS では、マネジメントコンソールや API から、必要な環境を数分で作成できます。
新機能のアイデアを思いついたら、すぐに形にして、プロトタイプを試せます。
B:購入・保管は俊敏性を下げる(誤り)

サーバーを購入して、社内で保管するのは、オンプレミスの考え方です。図の左のように、購入した設備は、検証が終わっても、すぐには手放せません。
AWS では、図の右のように、必要な間だけ使って、不要になれば削除して終わりです。購入と保管は、俊敏性を下げる方向の話です。
C:アプリの開発は利用者の仕事(誤り)

アプリケーションの開発は、利用者の仕事です。プロトタイプを作り、反応を見て作り直すのは、開発チーム自身です。
AWS が用意するのは、図の右のような、アプリを動かす環境です。AWS のエンジニアが、利用者のアプリケーションを代わりに開発することはありません。
D:3年分の約束はコスト最適化(誤り)

1年または3年の利用を約束して料金を下げるのは、コスト最適化の考え方です。AWS では、リザーブドインスタンスや Savings Plans がこれにあたります。
ただし、図の左のように、料金は下がりますが、長く縛られて途中でやめにくくなります。すぐに作って、すぐにやめる、という俊敏性とは、むしろ逆です。長期の約束で安くするのは、俊敏性とは別の考え方です。
E:削除すれば、その後の料金は止まる(正解)

試した環境を削除すれば、その後の料金はかかりません。図の上のように、料金が発生するのは、環境がある間だけです。
失敗しても負担が小さいので、作って、試して、削除して、また作り直す、を何度でも繰り返せます。この「作る・試す・削除する」を素早く回せることが、俊敏性です。
俊敏性と、まぎらわしい考え方
俊敏性と、まぎらわしい考え方を整理しておきます。俊敏性は、すぐに作れて、すぐに消せることです。試験では、これらを混ぜた選択肢がよく出ます。
| 考え方 | 中身 |
|---|---|
| 俊敏性 | すぐ作れて、すぐ消せる(数分で作成・不要なら削除) |
| コスト最適化 | 長期の利用を約束して料金を下げる(リザーブドインスタンス・Savings Plans) |
| オンプレミス | サーバーを購入して保管する。すぐには手放せない |
| 利用者の仕事 | アプリケーションの開発。AWS は代わりに開発しない |
ポイント
- 俊敏性:すぐ作れて、すぐ消せる(数分で作成・削除で料金も止まる)
- 長期の約束で安くするのは コスト最適化。俊敏性とは逆
- サーバーの購入・保管は オンプレミス、アプリの開発は 利用者 の仕事
クラウドの利点としての俊敏性と、長期の約束で料金を下げる購入オプションは、講座の記事で詳しく解説しています。
- 【AWS クラウドプラクティショナー試験対策講座 第02回②】AWS クラウドの利点
- 講座の第13回④「オンデマンドとリザーブドインスタンス」(連載の入口のページから)
講座の全14回は、連載の入口のページから順に読めます。
動画で見る
この回の内容を、YouTube の動画(約4分)でも解説しています。
連載の全回は、YouTube の再生リスト「CLF-C02 試験対策問題」にまとめています。
連載「CLF-C02 試験対策問題」
全回の目次と、読む順番・目的別の読み方は、CLF-C02 試験対策問題の入口のページにまとめています。
- 第1問 初期費用をかけずに始めるコストの利点(従量課金・規模の経済)
- 第2問 数分でグローバルに展開(世界同時公開と低い遅延)
- 第3問 高可用性(EC2 の複数 AZ 配置と RDS マルチ AZ)
- 第4問 クラウドの俊敏性(数分で作成・すぐに削除)(この記事)
- 第5問 責任共有モデル(EC2 へのリホストで AWS に任せられること)
- 第6問 数時間だけのアクセスのピークに備える(EC2 Auto Scaling・オンデマンド)
- 第7問 Well-Architected の6つの柱(信頼性・パフォーマンス効率)
- 第8問 信頼性の柱の設計原則(自動で復旧・水平方向のスケール)
- 第9問 持続可能性の柱の設計原則(使用率の最大化・マネージドサービス)
- 第10問 AWS CAF の変革ジャーニーのフェーズ(構想・連携・ローンチ・スケール)
- 第11問 AWS CAF のパースペクティブ(構成管理・パッチ管理はオペレーション)
- 第12問 移行のビジネスケース(Migration Evaluator)
- 第13問 AWS CAF のパースペクティブ(役割と組織の変化は人材)
- 第14問 サーバーをそのまま EC2 に移す(AWS Transform MGN)
- 第15問 ファイルの移行(AWS DataSync)
- 第16問 移行戦略の7つの R(リパーチェス・SaaS への乗り換え)
- 第17問 適切なサイズ設定(CPU は余り、メモリが不足)
- 第18問 責任共有モデル(Lambda と RDS)
- 第19問 最小権限の原則(IAM のポリシーと SCP)
- 第20問 責任共有モデル(EC2 と S3、AWS の責任)
- 第21問 共有統制の例(責任共有モデルの IT 統制)
- 第22問 コンプライアンスの資料と契約(AWS Artifact)
- 第23問 脅威の検出(Amazon GuardDuty)
- 第24問 脆弱性の継続的なスキャン(Amazon Inspector)
- 第25問 S3 の機密データの検出(Amazon Macie)
- 第26問 S3 の保管時の暗号化とキーの管理
- 第27問 だれが操作したかを調べる(AWS CloudTrail)
- 第28問 IAM ユーザーの認証情報の一覧(認証情報レポート)
- 第29問 EC2 のアプリケーションに権限を与える(IAM ロール)
- 第30問 データベースのパスワードの自動ローテーション(AWS Secrets Manager)


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