「PR のレビューの観点や検証の手順を、毎回ほぼ同じ文章で Claude に説明しています。貼り忘れると結果もぶれるので、なんとかならないでしょうか」
「CLAUDE.md が長くなってきました。手順書まで書いてよいのか、ほかに置き場所があるのか分かりません」
Claude Code に作業を任せていると、同じ指示を何度も書いていることに気づきます。コミットメッセージの書き方、レビューの観点、検証の手順。毎回貼るのは手間ですし、貼り忘れた回だけ結果が変わります。かといって、すべてを CLAUDE.md に書くと、関係のない作業のときまで毎回読み込まれてしまいます。
この連載「Claude Codeスキル入門」は、連載「Claude活用入門」(全6回)、連載「Claude Code実践入門」(全9回)の続編です。活用入門で Claude 全体の使い方を、実践入門で Claude Code を仕事で回すための型(作業範囲・操縦・CLAUDE.md・権限・検証)を見ました。この連載では、繰り返す手順を「スキル」にして、Claude に一度だけ教える方法を、Ansible の検証を題材に作りながら学びます。このあとに、サブエージェント入門・フック入門・チーム活用入門の連載が続きます。
第1回では、この連載の案内、これまでの連載のおさらい、公式の教材、そして「スキルとは何か」(フォルダーと SKILL.md、読み込みの3段階、他の手段との使い分け、スキルにしやすい作業の候補)を扱います。
この連載の案内
この連載は全12回です。
- スキルとは何か(この回):定義、フォルダーと SKILL.md、読み込みの3段階、使い分け
- SKILL.mdを書く:置き場所、frontmatter、本文の書き方、作って確かめる
- 発動する説明を書く:description、言い回し、試し方、名前
- 複数のファイルに分ける:段階的開示、scripts・reference
- スクリプトとallowed-tools:呼び出しの事前承認、権限ルールとの関係
- 検証スキルを作る(前編):Ansible の検証手順を、スキルの構成と SKILL.md に
- 検証スキルを作る(後編):verify.sh、reading-diff.md、CLAUDE.md を短くする
- Gitでチームに共有する:共有の方法、優先順位、運用ルール
- うまく動かないとき:症状別のチェックリスト、連載の早見表と持ち帰り
- 演習(前編):準備、作る・確かめる・発動させる
- 演習(中編):分ける・事前承認
- 演習(後編):共有(clone)、4D の振り返り、自己点検、次に学ぶなら
前提と、この連載の扱いは次のとおりです。
- 個人の Pro・Max のプランを前提にします。組織(Team・Enterprise)の話は、補足として添えるだけにします
- 操作は Claude のデスクトップアプリの Code タブ(Claude Code for Desktop)を主に書きます。CLI の操作は「CLI では」と添えるので、読み替えられます
- 数値・仕様は 2026年10月時点のものです。使うときは公式で確かめてください
- 筆者が手元で試したのは、CLI(非対話の
claude -p)の Claude Code 2.1.289 と 2.1.302(2026年10月18日)です。Code タブでの動き(反映のタイミング、確認の画面など)は、確かめていないところを「確かめていない」と書きます - この連載は、筆者が公式の文書(code.claude.com、platform.claude.com、Claude Academy)を読んで整理したもので、Anthropic の公式の文書ではありません。公式の推奨と、筆者の使い方の例は、分けて書きます
- 前の2つの連載(Claude活用入門・Claude Code実践入門)では機能名を「Skills」と書きましたが、この連載では「スキル」と書きます(同じ機能です。前の連載の見出しを引くときは、元の書き方のままにします)
これまでの連載のおさらい
この連載で使う、これまでの連載の要点です。
- 作業範囲:複雑な作業は「プラン」で計画を作らせ、読んで直してから実装する(Claude Code実践入門 第2回「Codeタブでのプランモード」「計画は「実際に読む」」)
- 操縦:早めに Esc。2回直してだめなら
/clear。/compactには指示を付ける(実践入門 第3回「早めに止めて直す」「/compactには指示を付ける」) - CLAUDE.md:200行未満、具体的に。専門的な手順は Skills に移す(実践入門 第4回「CLAUDE.md・Skills・フックの役割分担」)。この連載で扱うのは、その移し先です
- 権限:deny → ask → allow の順で、最初に一致したものが決める(実践入門 第6回「allow・ask・denyルールの書き方」)。設定例は同第6回「Ansibleの作業での設定例(筆者の例)」
- 検証:要約ではなく差分と証拠で終わらせる。6段階の型は実践入門 第7回「Ansibleでの検証の型」
- 振り返りの問い:実践入門 第7回「チームで使うなら決めておくこと」の④に「共通のスキルにしたい手順は何か」がありました。演習(実践入門 第8回・第9回)で CLAUDE.md から削った行や、詰まったところも、スキルの候補を探す手がかりになります
- この連載:実践入門 第7回「持ち帰りの3点」の「次に学ぶなら」で、「Skills の作り方までは扱いませんでした」と書きました。この連載は、その続きです。実践入門で見た検証の6段階のうち、①〜③(lint・構文確認・差分確認)を、スキルにします
あわせて読みたい公式の教材
Claude Academy(academy.claude.com)に、この連載に近い無料のコースがあります。先に読んでおくと、用語がそろいます。2026年10月17日に、日本語版のページの題と所要時間を確かめました(コースの題は、2026年10月28日の再確認で「Agent Skills入門」に変わっていました。レッスンの題と分数は同じです)。
- コース「Agent Skills入門」(6レッスン、約1時間):https://academy.claude.com/ja/courses/introduction-to-agent-skills
- レッスン1「スキルとは何ですか?」(9分)、レッスン2「最初のスキルを作成する」(10分)、レッスン3「設定とマルチファイルスキル」(10分):この連載の第1〜4回に当たります
- 任意:レッスン4「スキルとその他のClaude Code機能の比較」(6分)、レッスン5「スキルの共有」(15分)、レッスン6「スキルのトラブルシューティング」(8分)。計29分で、この連載の第1回の使い分け・第8回・第9回に当たります
- 英語版のページ(Skilljar の「Anthropic Academy」、https://anthropic.skilljar.com/introduction-to-agent-skills )には「Register FREE」とあり、Skilljar のアカウントが要ると書かれています
- チュートリアル「スキルの共有」:https://academy.claude.com/ja/tutorials/sharing-skills 。4分の動画(YouTube)だけで、本文のテキストはありません。コースのレッスン1〜3(29分)とあわせて、約33分です。もう1つのチュートリアル「最初のスキルを作成する」(4分の動画)は、コースのレッスン2と同じ題なので、ここには挙げていません
- コース「Claude Codeを実践する」のレッスン3「検証スキル」(5分):https://academy.claude.com/ja/courses/claude-code-in-action/verification-skills 。連載「Claude Code実践入門」第1回の「あわせて読みたい公式の教材」で挙げたコースの1つで、第6回・第7回で作る検証スキルの考え方に当たります
繰り返す指示は、まだ書かれていないスキル
PR のレビューの観点、コミットメッセージの書き方、検証の手順。気づくと、毎回同じ説明を Claude にしていないでしょうか。Academy のレッスンは、同じことを繰り返し説明しているなら、それは「まだ書かれていないスキル」だと言います。
スキルとは、Claude にやり方を一度だけ教える Markdown のファイルで、関連する場面で Claude が使います。公式(code.claude.com の Skills のページ)も、次のようなときにスキルを作るよう勧めています。
- 同じ指示・チェックリスト・複数ステップの手順を、チャットに貼り続けているとき
- CLAUDE.md の一部が、事実ではなく手順になってきたとき
公式の機能の比較のページ(features-overview)にも、「同じ手順書や複数ステップの手順をチャットに貼るのが3回目なら、skill にする」という行があります。
- 同じ説明を繰り返したら、それはまだ書かれていないスキル
- やり方を一度だけ教える Markdown。関連する場面で Claude が使う
- 人が
/スキル名で直接呼ぶこともできる - 目安:同じ複数ステップの指示を2回打ったらスキルにする
最後の目安は、Academy のコース「Claude Codeを実践する」のレッスン3「検証スキル」にある言い方です。日本語のレッスンの本文には、「経験則としては、同じ複数ステップの指示を2回タイプしたなら、それはスキルだということです」とあります(2026年10月17日に確認)。
なお、Academy のレッスン1は、スキルを「スラッシュコマンドとは別物」として比べています(スラッシュコマンドは明示的に入力する必要があり、スキルは Claude が状況を認識したときに適用する、という説明です)。公式の Skills のページは、カスタムコマンド(.claude/commands/ のファイル)はスキルに統合されたと書いています。.claude/commands/deploy.md と .claude/skills/deploy/SKILL.md は、どちらも /deploy を作り、同じように動きます。既存の .claude/commands/ のファイルも使えますが、新しく作るなら、補助のファイルも置けるスキルが勧められています。
スキルは、Claude Code だけの機能ではありません。Anthropic は、Agent Skills をオープン標準として公開しています(2025年12月18日の発表。仕様は agentskills.io)。公式の Skills のページは、Claude Code のスキルはこのオープン標準に従い、呼び出しの制御・サブエージェントでの実行・動的なコンテキストの差し込みなどの機能を足したものだと書いています。この連載では、形式の仕様は agentskills.io、Claude Code での動きは code.claude.comを根拠にします。
スキルはフォルダーと SKILL.md
スキルは、指示と資料を入れたフォルダーです。中心になるのは SKILL.md というファイルで、frontmatter(先頭の --- で挟んだ部分)に、スキルの名前(name)と説明(description)を書きます。その下に、スキルが使われたときに Claude が従う指示(本文)を書きます。
説明は、Claude がこのスキルを使うかどうかを決める手がかりです。依頼と説明が合えば Claude が本文を読み、決まった資料やスクリプトが必要なら、同じフォルダーの reference/ や scripts/ を使います。この連載で作る検証スキル ansible-verify も、この形です。

- スキル=指示と資料のフォルダー
- 中心は SKILL.md(frontmatter+本文)
- 説明で使うかを決め、資料は必要なとき
公式の Skills のページの最初の文も同じです。「Skills extend what Claude can do. Create a SKILL.md file with instructions, and Claude adds it to its toolkit. Claude uses skills when relevant, or you can invoke one directly with /skill-name.」(スキルは Claude にできることを広げる。指示を書いた SKILL.md を作ると、Claude は道具箱に加える。Claude は関連するときにスキルを使い、人は /skill-name で直接呼べる)。Anthropic のエンジニアリングブログ(2025年10月16日)は、スキルを「指示・スクリプト・資料を整理したフォルダーを入れた、SKILL.md を含むディレクトリ」と説明します。
読み込みの3段階
スキルは、必要になるまで中身を読み込まない仕組みです(段階的開示、progressive disclosure)。
- 1段階目(起動時):Claude は全スキルの名前と説明だけを読みます
- 2段階目(依頼が説明と合い、Claude がスキルを使うと決めたとき):SKILL.md の本文を会話に読み込みます
- 3段階目(必要になったときだけ):
reference/の資料を読み、scripts/のスクリプトを実行します
起動時に載るのは名前と説明だけなので、使われないスキルの本文はコンテキストを使いません。毎回すべてを読み込む CLAUDE.md との違いです。

- ①起動時:全スキルの名前と説明だけ
- ②説明に一致:SKILL.md の本文を読む
- ③必要なとき:資料を読む・実行する
用語を、ここで決めておきます。この連載では、依頼が description と合うことを「一致する」、Claude がスキルを使うと決めることを「発動する」と呼びます(第3回の「説明は2つの問いに答える」で詳しく扱います)。
3つの段階は、公式の複数の文書で同じように説明されています。Platform の Agent Skills の概要は、起動時に名前と説明がシステムプロンプトに入ること(Level 1)、発動したときに指示が読まれること(Level 2:Instructions)、必要なときに資料とコードが使われること(Level 3:Resources and code)を挙げます。
Academy のレッスン2には、Claude がスキルの全内容を読み込む前に確認のプロンプトが表示されるという説明があります。公式の Skills のページには、この確認についての記述は見つかりませんでした。筆者が CLI の claude -p で試した範囲では、allowed-tools を書いていないスキルは、確認なしで発動しました(第5回の「allowed-tools で事前承認する」で、allowed-tools を書いたスキルの場合を扱います)。Code タブでの表示は、筆者は確かめていません。
スキルと他の手段の使い分け
CLAUDE.md・スキル・フック・サブエージェントは、役割が違います。実践入門 第4回「CLAUDE.md・Skills・フックの役割分担」の表に、サブエージェントを足しました。
| 手段 | 向いているもの | 動き方 |
|---|---|---|
| CLAUDE.md | いつも当てはまる標準・制約 | 毎回読み込む。指示で、たいてい守られる |
| スキル | 特定の作業の手順と知識 | 依頼が説明と一致したとき読み込む。指示で、強制ではない |
| フック | 絶対に飛ばせないルール | イベントごとにコードで動く。強制する(フック入門) |
| サブエージェント | 別のコンテキストに任せる作業 | 結果の要約だけが戻る(サブエージェント入門) |
出典は https://code.claude.com/docs/ja/features-overview と、Academy のレッスン4です。公式の機能の比較の表(features-overview)は、CLAUDE.md を「毎回の会話に読み込まれる、持続するコンテキスト」、Skill を「Claude が使える指示・知識・ワークフロー」、Subagent を「要約した結果を返す、分離された実行コンテキスト」と説明しています。Academy のレッスン4は、「サブエージェントは分離された実行コンテキストで動く。スキルは現在の会話に知識を追加する」と言います。
- すべてをスキルに押し込まず、役割で分ける
- いつも守らせたい標準は CLAUDE.md、飛ばされては困るルールはフック、手順と知識で必要なときだけ読ませたいものがスキル
- 公式は、CLAUDE.md を200行未満に保ち、専門的な手順や参照資料はスキルに移すよう勧めています(features-overview・memory のページ)
レッスン4は、このほかに外部のサービスにつなぐ仕組み(MCP)も比べますが、この連載では扱いません。Skills・フック・MCP などの拡張の仕組みの全体は、連載「Claude活用入門」第5回「拡張の仕組み」にあります。
スキルにしやすい作業の候補(筆者の例)
チームでの作業のうち、スキルにしやすいものの候補です。筆者の例で、公式の推奨ではありません。
| 候補 | 置き場所 | 向く理由 |
|---|---|---|
Ansible の検証(ansible-verify) | プロジェクト | 手順が決まっていて、毎回同じ順番で実行したい。この連載で作る |
| playbook のレビュー | プロジェクト | 見る観点をチームでそろえられる |
日本語のコミットメッセージ(commit-message-ja) | 個人 → チーム | 書き方の好み。まず個人で試す |
| 手順書・報告書の書式 | プロジェクト | チームで形式をそろえる |
| 資料づくり(share-deck) | プロジェクト | 流れが長く、資料・ひな形・スクリプトを持つ |
| いつも守るルール、飛ばせない確認 | スキルにしない | CLAUDE.md、フックに書く |
- 手順が決まっていて、毎回同じ順番で実行したいもの、チームで観点をそろえたいものがスキル向き
- 書き方の好みのようなものは、まず個人で試してからチームに広げる
- 「いつも守るルール」「飛ばせない確認」は、スキルにしない。CLAUDE.md かフックに書く
share-deck は、筆者が資料づくりに使っているスキルです。手順を書いた SKILL.md と、資料(reference)、ひな形(templates)、スクリプト(scripts)などに分けてあります。ここでは構成と考え方だけを紹介します。筆者の資料づくりのプロジェクトは、連載「Claude活用入門」第5回「筆者の実例:資料づくりのプロジェクト」にあります。
考えてみよう
- 最近、Claude に同じ説明を2回以上した作業はありますか。それは、スキル・CLAUDE.md・フックのどれに書くのが向いていますか
- CLAUDE.md の中に、事実ではなく手順になっている部分はありますか。スキルに移すと、毎回のコンテキストはどう変わりますか
- 「本番に出す前に、必ず確認を出す」というルールは、スキルに書けば守られますか。理由も考えてください
ヒント:1と2は「繰り返す指示は、まだ書かれていないスキル」と「スキルにしやすい作業の候補(筆者の例)」の節、3は「スキルと他の手段の使い分け」の表(スキルは強制ではない)を見直してください。
まとめ
- スキルは、Claude にやり方を一度だけ教える Markdown。同じ複数ステップの指示を2回打ったら、スキルの候補
- スキル=指示と資料のフォルダー。中心は SKILL.md で、frontmatter の name・description と、本文の指示でできている
- 読み込みは3段階:①起動時は名前と説明だけ、②説明に一致したら本文、③必要なときだけ資料とスクリプト。使われないスキルは本文のコンテキストを使わない
- CLAUDE.md は毎回、スキルは必要なとき、フックはコードで強制、サブエージェントは別のコンテキスト。役割で分ける
- スキルは強制ではない。飛ばせないルールは、スキルではなくフックに書く
- スキルの形式は、オープン標準(agentskills.io)に従う。カスタムコマンドはスキルに統合された
次回は、SKILL.md の書き方(置き場所、frontmatter のフィールド、本文、作って確かめる手順)を扱います。
連載「Claude Codeスキル入門」全12回
全回の目次と、読む順番・目的別の読み方は、Claude Codeスキル入門の入口のページにまとめています。
- スキルとは何か(この記事)
- SKILL.mdを書く
- 発動する説明を書く
- 複数のファイルに分ける
- スクリプトとallowed-tools
- 検証スキルを作る(前編)
- 検証スキルを作る(後編)
- Gitでチームに共有する
- うまく動かないとき
- 演習(前編):作る・確かめる・発動させる
- 演習(中編):分ける・事前承認
- 演習(後編):共有と振り返り


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