GEOM RAID0 と GEOM RAID1 の組み合わせ
Seichan です.こんばんわ.
前回の「GEOM RAID1 を使ってみる」に続いて今回は RAID0 と RAID1 の組み合わせに触れてみたいと思います.
こちらも同様に Pukiwiki の「FreeBSD で GEOM を試してみる」に以前書いていて、新バージョンでの焼き直しになります.
1. RAID10 とは
いつものとおり,簡単に RAID10 について説明してみます.
RAID10 は RAID1 (ミラーリング)のセットを複数用意して,それら RAID1 セットを纏めて RAID0 (ストライプ) の大きなディスクグループを作成したものです.RAID10 の大きな利点は,RAID1 の信頼性と RAID0 のパフォーマンスのいいとこ取りの構成です.
別の機会に詳細に書きますが,他の RAID 構成で,RAID5 等があり,これらも冗長性とパフォーマンスを両立させる手法ではありますが,パリティオーバーヘッドなどがあり,書き込みのパフォーマンスが低くなってしまいます.RAID5 等に比べ,RAID10 は書き込みオーバーヘッドも無く,純粋に RAID0 分のディスクパフォーマンスが期待できます.
デメリットは,RAID1 のセットを用意する為,用意するディスク本数の半分の容量しか利用できない.という事になります.ですが,このデメリットがあっても DB やメールサーバ等はパフォーマンスを優先させる必要があるため,RAID10 を採用するケースが多いです.
2. GEOM の重ねがけで RAID10 を構成する
GEOM の利点は重ねがけが出来るというところを「GEOM のモジュールを理解する 」でも書きました.
RAID0 と RAID1 を重ねがけすることで,RAID10 を構成することが可能になります.
ですので,RAID10 を構成するには,上述の通り,RAID1 のセットを RAID0 で纏める事になります.実際にやってみましょう.
はじめに kernel module がロードされているかを確認し,ロードされていなければ明示的にロードしてください.RAID10 を構成しますので,kldload geom_mirror と kldload geom_stripe の2つをロードする必要があります.
# kldstat Id Refs Address Size Name 1 1 0xffffffff80200000 15b93c0 kernel # kldload geom_stripe # kldload geom_mirror # kldstat Id Refs Address Size Name 1 5 0xffffffff80200000 15b93c0 kernel 3 1 0xffffffff81812000 4900 geom_stripe.ko 4 1 0xffffffff81817000 fe84 geom_mirror.ko
2つの kernel module がロードされたら,RAID1 のディスクを複数作成します.
本環境では,da1 – da4 の4つのディスクを用意しましたので,da1 と da2,da3 と da4 のペアを作成します.その後,作成されたか status サブコマンドで確認します.
ちなみに,ディスクサイズは全て 20GB です.
# gmirror label raid1-1 da1 da2 # gmirror label raid1-2 da3 da4 # gmirror status Name Status Components mirror/raid1-1 COMPLETE da1 (ACTIVE) da2 (ACTIVE) mirror/raid1-2 COMPLETE da3 (ACTIVE) da4 (ACTIVE)
RAID1 のセットを複数作成したら,今度はそのセットを RAID0 で束ねます.
本環境では,先ほど作成した raid1-1 と raid1-2 の2つを使用して RAID0 を構成します.GEOM 化されたデバイスを指定する際,gmirror status サブコマンドで表示されているデバイス名を指定する必要がありますので注意してください.作成後,状態を status サブコマンドで確認します.
# gstripe label raid0-1 mirror/raid1-1 mirror/raid1-2 # gstripe status Name Status Components stripe/raid0-1 UP mirror/raid1-1 mirror/raid1-2
作成した raid0-1 の詳細を次に表示してみます.raid1-1 及び raid1-2 は20GB のディスクを RAID1 化しているので 20GB のままです.raid0-1 はそれら 20GB ディスクを2セット束ねますので 40GB となります.
RAID10 構成ですので,20GB のディスクを4つ用意したのですが,実用量は 40GB となっているのがわかるかと思います.
# gstripe list Geom name: raid0-1 State: UP Status: Total=2, Online=2 Type: AUTOMATIC Stripesize: 65536 ID: 3885522219 Providers: 1. Name: stripe/raid0-1 Mediasize: 42949541888 (40G) Sectorsize: 512 Stripesize: 65536 Stripeoffset: 0 Mode: r0w0e0 Consumers: 1. Name: mirror/raid1-1 Mediasize: 21474835968 (20G) Sectorsize: 512 Mode: r0w0e0 Number: 0 2. Name: mirror/raid1-2 Mediasize: 21474835968 (20G) Sectorsize: 512 Mode: r0w0e0 Number: 1
と以上 RAID10 でした.次回は… RAID1 ボリュームの管理や色々な使い方にふれたいと思います.


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